「子供が歯を失ってしまった…インプラント治療はできるの?」
そんな疑問を抱える保護者の方は少なくありません。成長期の子供の歯の治療は、大人とは異なる特別な配慮が必要です。特に歯を失った場合、放置すると隣の歯が動いたり、噛み合わせが悪くなったりするリスクがあります。
ここでは、子供のインプラント治療が原則推奨されない理由、成長期に適した代替治療法、そして将来的なインプラント治療の可能性についてお話します。お子様の健やかな歯の成長をサポートするためのヒントとしてご参考になさってください。
Contents
原則、子供のインプラント治療は推奨されない
結論から言うと、成長期の子供へのインプラント治療は原則として推奨されません。最大の理由は、子供のあごの骨や歯列がまだ成長途中にあり、その自然な発育を妨げる可能性があるためです。
成長期にインプラントが推奨されない理由
インプラントは顎の骨に直接固定されるため、一度埋め込むと位置が変わりません。しかし、子供のあごの骨は成長とともに大きさや形が変化します。このため、成長期にインプラントを埋め込むと、以下のような問題が発生する可能性があります。
成長期にインプラントを埋め込むリスク
- 歯列や噛み合わせの乱れ
周囲の歯や顎の骨が成長する一方で、インプラントは固定されたままなので、隣接する歯との位置関係が崩れ、結果的に噛み合わせが悪化するリスクがあります。 - 顔や顎の形状への影響
インプラントがあごの骨の成長を妨げることで、あご全体のバランスが崩れ、見た目にも影響を及ぼす可能性があります。 - インプラントの位置ずれ
成長が進むにつれ、埋め込まれたインプラントの位置が相対的にずれてしまい、再治療が必要になるケースも少なくありません。
これらのリスクを避けるため、歯科医師は成長期の間、インプラント治療ではなく他の方法を選択することを推奨しています。
子供が歯を失ったまま放置するリスクとその対処法
お子様が歯を失ったまま放置してしまうと、成長期特有の問題が生じる可能性があります。歯は噛み合わせだけはなく、あごの成長や顔の形状にも影響があるからです。
歯を失ったまま放置することで生じるリスク
- 隣接する歯の傾き
歯が欠損すると、その隣の歯が徐々に傾いてしまうことがあります。これにより、噛み合わせが悪くなり、歯列全体のバランスが崩れてしまいます。 - 噛み合わせの悪化
欠損部分に噛み合わせがないと、上下の歯の接触がなくなるため、残っている歯やあごに過剰な負担がかかり、将来的な歯やあごのトラブルの原因となります。 - 顔やあごの形状への影響
特に成長期の子供にとって、歯がない状態はあごの発育に悪影響を与える可能性があります。顔のバランスが崩れることで、見た目にも影響が出ることがあります。
インプラント以外の選択肢について
そのため、成長期に歯を失った場合、インプラント以外の方法で歯列やあごの健康を維持することが大切です。以下は一般的に用いられる対処法です。
- 保隙装置(ほげきそうち)
スペースメンテーナーとも呼ばれ、欠損部分のスペースを維持するための装置です。隣の歯が傾くのを防ぎ、将来的にインプラントや他の治療が必要になった際の準備として活用されます。 - 仮歯や部分入れ歯
一時的に失った歯を補う方法です。外見を整えるだけでなく、咀嚼機能を一部回復させる役割も果たします。 - 矯正治療との併用
歯列やあごの成長を整えながら、欠損部分の影響を最小限に抑えることが可能です。
以上のようなインプラントに代わる治療法を通じて、欠損部分を適切に補い成長期の間に健康な歯列を維持していきます。こうした治療を通じて、将来的にインプラント治療を検討する際の基盤を整えることも可能です。
例外的にインプラント治療が検討されるケースとその条件
成長期の子供へのインプラント治療は原則推奨されませんが、例外的に治療の選択肢として検討されるケースもあります。
それは、外傷や事故によって前歯を失い、見た目の回復が急務である場合や、先天的に永久歯が欠損し、その部分の成長が見込めない場合など、他の治療法では対応が難しい、特殊な状況に限られます。
ただし、これらのケースにおいても、インプラント治療を検討する大前提として、あごの成長がほぼ完了していることが必要です。子供のあごの成長は、完全に止まる年齢が明確に決まっているわけではありません。一般的には、女子で16-18歳、男子で18-21歳頃と言われていますが、これはあくまでも目安であり、実際には個人差が大きいことを理解しておく必要があります。
そのため、例外的にインプラント治療を検討する際には、年齢だけでなく、レントゲンを用いて、あごの骨の成長具合を確認するなど総合的に判断します。
また、仮にあごの成長がほぼ完了していると判断された場合でも、本当にインプラント治療が最適なのか、他の治療法と比較検討した上で、慎重に判断していくことが重要です。
このように、例外的にインプラント治療が検討されるケースは、非常に限定的であり、かつ複数の条件を満たしている必要があります。
成長期の子供の口腔健康を守るために
以上、子供のインプラント治療は、成長期におけるあごや歯列の発育に悪影響を及ぼす可能性があるため、原則として推奨されない理由についてお話しました。
成長期には、仮歯や保隙装置、矯正治療などの代替手段を選択することで、歯列やあごの健全な発育を維持し、将来的にインプラント治療を検討するための基盤を整えることが重要です。
北村総合歯科では、成長期の子供の口腔健康を支えるために、一人ひとりの状態に応じた柔軟な治療を提供しています。保護者の方の不安や疑問にも丁寧に対応し、長期的な視点でお子様の健康をサポートしていますので、お子様の歯に関してお悩みがある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。お子様の将来を見据えた最適な治療を一緒に考えましょう。
北村英二 院長について
他院でインプラントを断られた方も諦めないでください。北村総合歯科では、痛みの少ない治療を大切にし、骨が少ない方や難症例にも対応。日本口腔インプラント学会専門医の院長が、最新技術と歯科用CTによる精密な診断で、最適な治療をご提案します。「インプラント10年保証書」認定歯科医院だから、治療後も安心。インプラント無料相談・セカンドオピニオンも受付中。お気軽にご相談ください。