長く通っているかかりつけの歯科医院で、抜歯が必要になりインプラント治療を勧められたとき、慣れた先生のもとで治療を受けるべきか、インプラントを専門にしている歯科医院に相談すべきか。迷われる方は少なくありません。

実際に、当院にも「かかりつけでインプラントを勧められたが、専門のところで受けたい」とご相談に来られる患者様が多くいらっしゃいます。

一般歯科とインプラント専門歯科は、対立するものではなく、それぞれに役割があります。ここでは、両者の違いを4つの観点から整理し、ご自身の治療をどちらで受けるか判断するための材料をお伝えします。

一般歯科とインプラント専門歯科の役割の違い

まず前提として、一般歯科とインプラント専門歯科は得意とする領域が異なります。

一般歯科は、虫歯や歯周病の治療、定期検診、予防処置、入れ歯の調整など、お口の健康全般を幅広くカバーする役割を担っています。地域の患者様にとって身近な存在であり、日常的なお口のケアの窓口です。

一方、インプラント専門の歯科医院は、インプラント治療に重点を置き、症例数を積み重ねながら専用の設備と治療時間を確保している歯科医院です。

ここからは、インプラント専門歯科ならではの特徴を4つの観点で見ていきます。

1. インプラント治療の症例数と経験の幅

インプラント専門の歯科医院と一般歯科で大きく異なるのが、インプラント治療の症例数です。

インプラントを専門に扱っている歯科医院では、年間を通して多くのインプラント治療を行っています。シンプルなケースから複雑なケースまで、さまざまな患者様の症例に対応する中で、診断・治療計画・手術・メンテナンスまでの一連の経験が蓄積されていきます。

経験の幅が広いことには、次のような意味があります。

  • お口の状態に応じた治療計画の選択肢が広がる
  • 治療中に予測される変化に対して、過去の経験をもとに対応できる
  • 治療後に起こりうるトラブルへの予防的な配慮ができる

一般歯科でもインプラント治療を行っている歯科医院はありますが、年間の症例数は専門の歯科医院と比べて少ない傾向にあります。インプラントが大切な治療であることを考えると、症例数や経験の幅は、相談先を選ぶ際の一つの判断材料になります。

2. 「骨が足りない」など難しいケースへの対応

インプラントは、あごの骨に人工歯根を埋め込む治療です。そのため、あごの骨の量や質、お口全体の状態によって治療の難易度が変わってきます。

たとえば、次のようなケースは、診断や処置に専門的な判断が必要になります。

  • あごの骨が足りないと言われたケース
  • 他院で「インプラントは難しい」と相談を受けたケース
  • 噛み合わせ全体のバランスを考慮する必要があるケース
  • 複数の歯を失っており、治療計画が複雑になるケース

このようなケースでは、骨を補う処置(骨造成)や、お口全体を見渡した治療計画の立案が必要になることがあります。そのため、相談先を選ぶ際には、日本口腔インプラント学会の専門医などの資格を持っているか、骨造成を含む難症例への対応実績があるかが、一つの判断材料になります。

「他院でインプラントは難しいと言われた」という方も、状況によっては治療できる可能性がありますので、まずは専門の歯科医院でご相談されることをおすすめします。

3. インプラント治療に特化した設備

インプラント専門の歯科医院では、診断・手術・治療後の確認に必要な設備を備えています。

たとえば、インプラントと骨がどの程度結合しているかを測定する装置があります。インプラントは、埋め込んだ後にあごの骨としっかり結合することで、はじめて噛む力を支えられるようになります。この結合の状態を客観的に測定することで、次の治療ステップに進むタイミングを判断できます。

また、手術前の精密な診断のためのCT、手術を安全に行うためのガイドシステムなど、インプラント治療に特化した設備が整っているのも専門歯科の特徴です。

設備の有無は治療の精度や安全性への配慮に関わる部分であり、相談先を選ぶ際の判断材料の一つになります。

4. 1人の患者様にかける治療時間

インプラント治療は、1回の治療で完結するものではなく、診断から治療完了、その後のメンテナンスまで、長期間にわたって患者様と関わっていく治療です。

そのため、インプラント専門の歯科医院では、1人の患者様にかける治療時間を十分に確保しています。

北村総合歯科では、インプラントの手術には3時間程度の時間を確保し、通常の診療でも、インプラントの患者様に1回あたり1時間程度の時間を確保しています。ゆとりを持って治療を行うことで、次のようなメリットがあります。

  • 麻酔の効果が十分に発揮されるまで時間をかけられる
  • 一つ一つの処置を丁寧に進められる
  • 治療中の患者様の状態を見ながら対応できる
  • カウンセリングや説明にも十分な時間を取れる

特にカウンセリングの時間は、患者様の不安や疑問を解消するために大切な時間です。治療内容、費用、リスク、治療後の生活について、納得いくまでご説明することを大切にしています。

必ずしも「インプラント専門」が正解とは限らない

ここまで、インプラント専門の歯科医院の特徴を4つの観点でお伝えしてきました。しかし、誤解していただきたくないのは、インプラントだから必ず専門の歯科医院を選ぶべき、というわけではないということです。

歯の治療は、治して終わりではありません。インプラントであれば、治療後も定期的なメンテナンスを通じて、長くお口の健康に付き合い続けていく関係になります。だからこそ、歯科医師のスキルや経験と同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが、あなたとその先生との間に信頼関係があるかどうかです。

長年通っているかかりつけの先生が、あなたのお口の状態や生活背景をよく理解してくれていて、インプラント治療にも対応しており、治療の説明にも納得できているのであれば、その先生のもとで治療を受けることは十分に良い選択です。あなたが納得して信頼できる先生であれば、専門であることにこだわる必要はありません。

インプラント専門の歯科医院への相談を検討した方がよいケース

一方で、提案された治療に迷いや不安があるときは、インプラント専門の歯科医院で話を聞いてみるのも一つの方法です。セカンドオピニオンとして別の歯科医院で意見を聞くことは、かかりつけの先生に対して失礼なことではありません。インプラントの費用や治療計画は一律ではないため、複数の視点から説明を受けることで、納得して判断しやすくなります。

具体的には、以下のような状況に当てはまる方は、専門の歯科医院への相談を検討されることをおすすめします。

  • あごの骨が足りないと言われた、または難しいケースだと言われた
  • 提案された治療内容や費用に、納得しきれない部分がある
  • かかりつけにインプラントの症例経験が少なく、不安を感じている
  • 別の視点からも意見を聞いた上で、治療を決めたい
  • 治療後のメンテナンスまで、専門的な体制のもとで診てもら

専門の歯科医院で話を聞いた結果、かかりつけの先生のもとで治療を受けると決めるのも、もちろん良い選択です。大切なのは、あなた自身が納得できる場所で治療を受けることです。

インプラント治療について相談したい方は北村総合歯科へ

インプラント治療をどこで受けるかは、長くお口の健康に関わる大切な選択です。北村総合歯科では、日本口腔インプラント学会の専門医がカウンセリングから治療、メンテナンスまで一貫して対応しています。

「かかりつけでインプラントを勧められたけれど、専門のところで相談したい」「あごの骨が足りないと言われた」など、どのような状況でもまずはお気軽にご相談ください。患者様のお話を丁寧にお聞きし、お一人お一人に合った治療をご提案いたします。

※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。

インプラント治療とは

歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。

手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。

インプラント治療に関する費用

内容メーカー/処置費用(税込)
上部構造(人工歯)ジルコニア/ハイトランス¥143,000
ジルコニアステイニング¥154,000
ジルコニアレイヤリング¥176,000
インプラント体(人工歯根)プラトン¥264,000
ネオデント¥297,000
ストローマン¥330,000
追加処置サージカルガイド¥66,000
ソケットリフト骨造成(GBR)¥55,000/本
サイナスリフト¥110,000

インプラント治療に伴う主なリスク・副作用

インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。

  • 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
  • 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
  • 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
  • インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
  • 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
  • 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
  • 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間

これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長

1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。