インプラント治療は、失った歯を補うために有効な治療法ですが、その費用は決して安くはありません。
だからこそ「医療費控除を使えば少しでも負担を軽くできるのでは?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
実際に、インプラント治療は条件を満たせば医療費控除の対象になります。
ただし、「すべてのインプラント治療が対象になるわけではない」ことや、「申請の手続きは自分で行う必要がある」といった注意点もあります。
ここでは、インプラント治療と医療費控除の関係について、基本的なポイントをわかりやすくお話します。
Contents
医療費控除の基本的な仕組み
医療費控除とは、確定申告で申告する「所得」から一定額を差し引ける制度です。
「所得」から一定額を差し引くことで、課税対象となる所得が少なくなり、結果として所得税や住民税の負担が軽くなるという仕組みです。
控除対象となる金額の考え方
1年間に実際に支払った医療費の合計から、自己負担として差し引かれる基準額を引いた残りが、控除の対象となります。
この基準額は「10万円」または「所得金額の5%」のいずれか少ない方です。
所得による違い
所得が高い人と低い人では、この基準額が変わります。
例えば、所得が少ない人は「10万円」よりも「所得の5%」の方が小さくなる場合があり、その分控除に反映される金額が変わってきます。
計算のイメージ
例えば、1年間にインプラント治療などで 50万円 を支払った場合
所得が400万円の人
→基準額は20万円(400万円×5%)
控除対象額: 50万円 – 20万円 = 30万円
所得が800万円の人
→基準額は10万円
控除対象額: 50万円 – 10万円 = 40万円
このように、同じ50万円の治療費を払っても、所得によって控除対象となる金額が変わります。
※医療費控除の計算方法は年度ごとに見直しが行われる可能性があります。詳しい計算式や最新情報は、必ず国税庁の公式ページをご確認ください。
よくある質問Q&A
いいえ。医療費控除はご自身で確定申告をする必要があります。医院が代わりに申請することはできません。
自動的には控除されません。確定申告では「医療費控除の明細書」を提出する必要があります。領収書は提出しませんが、税務署から求められたときのために5年間は保管しておきましょう。
いいえ。控除の対象になるのは「治療を目的とした場合」に限られます。見た目の改善(審美目的)のみの場合は対象外になる可能性があります。
医療費控除は、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費をまとめて、翌年の確定申告で申請します。
申告期間は通常、翌年の2月16日から3月15日までです。e-Taxを利用すれば、事前に準備して申告できます。
医療費控除を受けるための準備
医療費控除を受けるには、事前の準備が大切です。以下のポイントを押さえておきましょう。
- 領収書・明細書の保管
インプラント治療の費用を含め、支払った医療費の領収書は必ず保管しておきましょう。確定申告では「医療費控除の明細書」を提出しますが、領収書は5年間自宅で保存する必要があります。 - 家族分を合算できる
同じ生計の家族であれば、医療費を合算して申請できます。たとえば、ご自身のインプラント治療費と、お子さんの治療費を合算して控除を受けることも可能です。 - 交通費も対象になる場合がある
通院にかかった公共交通機関の交通費は、医療費控除の対象になるケースがあります。記録を残しておくと安心です。
正しい知識で賢く制度を活用
インプラント治療は、高額になりやすい治療のひとつです。
だからこそ、治療費を支払ったあとは「医療費控除」を忘れずに申請することが大切です。
控除を受けることで、税金の負担を軽くできる可能性があります。
領収書や明細をきちんと保管し、確定申告の際に正しく申請しましょう。
「治療を受けて終わり」ではなく、制度を上手に活用することも、ご自身やご家族の経済的な安心につながります。
詳しい条件や計算方法のついては、国税庁の公式サイトをご確認ください。
※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。
歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。
手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。
インプラント治療に関する費用
内容 | メーカー/処置 | 費用(税込) |
---|---|---|
上部構造(人工歯) | ジルコニア/ハイトランス | ¥143,000 |
ジルコニアステイニング | ¥154,000 | |
ジルコニアレイヤリング | ¥176,000 | |
インプラント体(人工歯根) | プラトン | ¥264,000 |
ネオデント | ¥297,000 | |
ストローマン | ¥330,000 | |
追加処置 | サージカルガイド | ¥66,000 |
ソケットリフト骨造成(GBR) | ¥55,000/本 | |
サイナスリフト | ¥110,000 |
インプラント治療に伴う主なリスク・副作用
インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。
- 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
- 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
- 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
- インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
- 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
- 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
- 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間
これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長
1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- インプラント講習会のインストラクター
- インプラントメーカー公認インストラクター(プラトンジャパン)
- 日本歯科放射線学会 優良医
- 日本歯科医師会 所属
- 多数の学会発表、インプラント専門誌、学術誌での発表実績あり