「糖尿病があるからインプラント治療は無理かもしれない」
「歯医者で断られてしまった」
とお悩みではありませんか。
実は、糖尿病があっても血糖値がしっかりコントロールできていれば、インプラント治療を受けられる可能性があります。ただし、健康な方と比べると術後の傷の治りや感染のリスクに違いがあるため、治療前の準備はもちろん、治療が終わった後の管理もとても大切になります。
ここでは、糖尿病の方がインプラント治療を考えるときに知っておきたいリスクと、治療を成功に近づけるためのポイントについてお伝えします。
Contents
糖尿病でもインプラント治療は受けられる|鍵は血糖コントロール
糖尿病だからといって、すぐに「インプラントは無理」となるわけではありません。大切なのは、血糖値が安定してコントロールできているかどうかです。
血糖コントロールの状態をみる目安としてよく使われるのが、「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」という数値です。これは過去1〜2ヶ月くらいの平均的な血糖の状態を表すもので、その時々の血糖値ではなく、長い目で見た状態をチェックできる指標です。
インプラント治療では、HbA1cが6.5〜7.0%未満であれば、手術を安全に受けられるひとつの目安とされています。ただ、これはあくまで一般的な目安です。実際には、患者様の全身の状態や合併症の有無、内科の主治医の判断などを踏まえて、総合的に決めていきます。
血糖値が高いまま無理に治療を進めると、術後にトラブルが起こる可能性が高くなります。まずはご自身のHbA1cの数値を確認し、内科の主治医に相談するところから始めてみてください。
糖尿病の方がインプラント治療で注意すべき3つのリスク
糖尿病の方がインプラント治療を受けるときには、健康な方にはない特有のリスクに気をつける必要があります。なぜ慎重な準備と管理が必要なのか、3つの観点から見ていきましょう。
1. 傷の治りが遅くなる
糖尿病の方は、健康な方に比べて手術後の傷が治りにくい傾向があります。これには主に3つの原因が関係しています。
ひとつ目は血流の悪化です。高血糖の状態が続くと血管にダメージが蓄積し、傷を治すために必要な酸素や栄養が十分に届きにくくなります。
ふたつ目は免疫機能の低下です。血糖値が高い状態では、細菌と戦う白血球の働きが弱まることが知られています。そのため、感染症にかかりやすく、また治りにくくもなります。
3つ目は神経障害です。糖尿病の合併症として神経障害がある場合、感覚が鈍くなって、傷や炎症に気づくのが遅れてしまうことがあります。
インプラントは歯ぐきを切開してあごの骨に人工歯根を埋め込む外科処置を伴うため、傷の治りが遅いことは治療の経過に大きく影響するのです。
2. 骨とインプラントの結合が進みにくくなる
インプラント治療の成功を左右する大切なプロセスに、「オッセオインテグレーション」というものがあります。聞き慣れない言葉かもしれませんが、これは埋め込んだチタン製の人工歯根があごの骨と直接結合する現象のこと。この結合がしっかり得られることで、インプラントは長期間安定して使えるようになります。
ところが、高血糖の状態が続くと、このオッセオインテグレーションが進みにくくなる可能性があると報告されています。糖尿病の影響で骨を作る細胞(骨芽細胞)の働きが落ちたり、骨の代謝バランスが崩れたりするため、インプラントと骨がうまく結合しないリスクがあるのです。
さらに、糖尿病の方は骨を作る働きよりも骨を分解する働きが強くなりやすく、結果として顎の骨が減りやすい傾向もあります。
3. 歯周病・インプラント周囲炎のリスクが高まる
糖尿病は「歯周病の第6の合併症」と呼ばれるほど、歯周病と深い関係があります。実際、糖尿病の方は健康な方に比べて歯周病になりやすく、しかも重症化しやすいことがわかっています。
ここで注意していただきたいのが、糖尿病と歯周病は双方向にお互いを悪化させる関係にあるという点です。歯周病による慢性的な炎症から出る物質(炎症性サイトカイン、TNF-αなど)は、インスリンの働きを邪魔する作用があり、血糖コントロールを悪くしてしまいます。逆に、糖尿病があると免疫機能の低下や微小血管の障害によって、歯ぐきや歯を支える組織が壊されやすくなるのです。
この関係は、インプラント治療が終わった後にも大きな意味を持ちます。インプラントの周りに起こる「インプラント周囲炎」は、いわばインプラント版の歯周病。進行するとインプラントを支える骨が失われ、最終的にインプラントが抜け落ちてしまうこともあります。糖尿病の方は、このインプラント周囲炎のリスクが高い傾向があるため、術後のケアがとても大切になるのです。
インプラント治療を成功に導く|治療前・治療中の血糖コントロール
こうしたリスクがあるからこそ、糖尿病の方がインプラント治療を考えるときは、治療前の準備がとても大切になります。
まず欠かせないのが、内科の主治医との連携です。インプラント治療を担当する歯科医師は、糖尿病そのものの専門家ではありません。だからこそ、現在の血糖コントロールの状態、飲んでいるお薬、合併症の有無などを正確に共有することが、より安全な治療計画につながります。
血糖値を安定させるためには、食事療法・運動療法・薬物療法を続けることが基本です。手術前にはHbA1cの数値を確認し、目安となる範囲に収まっているかどうかをチェックします。
それと並行して、お口の中の環境を整えることも欠かせません。虫歯や歯周病がある状態でインプラント手術を行うと、術後の感染リスクが高まってしまいます。手術前にしっかりお口のトラブルを治療して、清潔な状態を作っておくことが大切です。
糖尿病の方は治療後が大事|長く使い続けるための生活管理
糖尿病の方のインプラント治療では、手術が無事に終わってからの管理がとても大切です。むしろ、治療後こそが本番と言っても言い過ぎではありません。
理由は2つあります。ひとつは、インプラント周囲炎などのトラブルを防ぐために、お口の中を清潔に保ち続ける必要があること。もうひとつは、インプラント治療によって食生活が変わることで、血糖コントロールに影響が出る可能性があることです。
ここで、当院で経験したケースをご紹介します。長年お口の状態が悪く、十分に噛めなかった糖尿病の患者様が、インプラント治療によってしっかり噛めるようになると、今まで食べられなかったものをおいしく感じられるようになる方がいらっしゃいます。これ自体は、生活の質(QOL)が上がったという意味で、とても喜ばしいことです。
ただ一方で、食事がおいしくなった結果、ついつい食べ過ぎてしまい、体重が増えたり血糖値のコントロールが難しくなったりするケースもあります。インプラントでお口の機能を取り戻したことが、糖尿病の管理という面では新しい課題につながることもあるのです。
だからこそ、インプラント治療を受けた後も、内科での糖尿病治療と並行して、食事の内容を見直したり、体重を適切に管理したりすることが大切になります。それと同時に、定期的な歯科メンテナンスでインプラント周囲炎を予防し、長く快適にお使いいただくためのケアも欠かせません。
私たちは、患者様が治療後の生活も含めて健康に過ごしていただけるよう、内科の主治医との連携や、定期メンテナンスを通じた長期的なサポートを大切にしています。
北村総合歯科のインプラント治療における配慮
当院では、糖尿病をはじめとする全身疾患をお持ちの患者様にも安心して治療を受けていただけるよう、次のような配慮を行っています。
院長は日本口腔インプラント学会の専門医、そして国際機関認定のインプラントスペシャリストの資格を持っており、骨造成などの難症例にも対応しています。糖尿病の方を含め、全身の状態を踏まえたうえで、患者様一人ひとりに合った治療計画をご提案します。
カウンセリングには十分な時間を設け、現在の健康状態、内科での治療内容、ご不安に思っていることを、じっくりお伺いします。必要に応じて内科の主治医と情報を共有しながら、より安全に治療を進められる体制を整えています。
手術では、ガイドシステムや圧縮型骨圧接器具(オステオプッシャー)など、患者様の負担(手術の傷口)がより少ない方法を採用しています。傷口が小さく、出血や腫れも抑えやすいため、術後の回復にも配慮した治療が可能です。
治療後は、定期的なメンテナンスでインプラントの状態をチェックし、インプラント周囲炎の予防にも力を入れています。糖尿病の方が長くインプラントを使い続けられるよう、長期的な視点でサポートいたします。
糖尿病でインプラントを諦めかけている方はご相談ください
糖尿病があるからといって、インプラント治療を最初から諦める必要はありません。血糖値のコントロール状況やお口の状態によっては、治療を受けられる可能性があります。まずはお気軽にご相談ください。
当院では、患者様の全身状態を丁寧に確認し、内科の主治医とも連携しながら、安全に治療を進められるかどうかを一緒に検討いたします。「自分の場合はどうだろう」と不安に思われている方こそ、一度ご相談にいらしてください。
※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。
歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。
手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。
インプラント治療に関する費用
| 内容 | メーカー/処置 | 費用(税込) |
|---|---|---|
| 上部構造(人工歯) | ジルコニア/ハイトランス | ¥143,000 |
| ジルコニアステイニング | ¥154,000 | |
| ジルコニアレイヤリング | ¥176,000 | |
| インプラント体(人工歯根) | プラトン | ¥264,000 |
| ネオデント | ¥297,000 | |
| ストローマン | ¥330,000 | |
| 追加処置 | サージカルガイド | ¥66,000 |
| ソケットリフト骨造成(GBR) | ¥55,000/本 | |
| サイナスリフト | ¥110,000 |
インプラント治療に伴う主なリスク・副作用
インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。
- 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
- 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
- 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
- インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
- 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
- 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
- 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間
これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長
1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- インプラント講習会のインストラクター
- インプラントメーカー公認インストラクター(プラトンジャパン)
- 日本歯科放射線学会 優良医
- 日本歯科医師会 所属
- 多数の学会発表、インプラント専門誌、学術誌での発表実績あり