歯並びが悪いけど、インプラント治療はできるのかな・・・。
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

実は、歯並びが悪くてもインプラント治療が可能なケースは少なくありません。ただし、注意すべきリスクや、治療を成功に導くための選択肢を知っておくことが大切です。

ここでは、「歯並びが悪い状態でインプラントをしたらどうなるのか?」という疑問にお答えしながら、専門的な視点から、安心できる治療のポイントをわかりやすく解説します。

インプラントで歯並びは治らない?矯正との違い

歯を失った部分に人工の歯根を埋め込むインプラント治療は、見た目と機能を回復させるための優れた治療法です。しかし、インプラントはあくまで失った歯を補うためのものであり、歯並びそのものを整えることはできません

なぜなら、インプラントはあごの骨としっかりと結合するため、「動かない歯」として機能するからです。歯の位置を動かす力はないため、歯列の乱れや傾きといった歯並びの改善には適していません。

一方、歯列矯正は、ブラケットやマウスピースなどを使って時間をかけて歯を動かし、全体のバランスを整える治療です。正しい噛み合わせを作ることで、その後にインプラント治療を行う際も、より安全で長持ちしやすくなるというメリットがあります。

「歯並びも気になるし、抜けてしまった歯もどうにかしたい」とお考えの方は、まず歯科医師に相談し、矯正とインプラントをどのように組み合わせるかを検討することが、後悔しない治療への第一歩です。

歯並びが悪いままインプラントを入れるリスク

歯並びが悪い状態のままインプラント治療を行うと、見た目だけでなく、機能面や将来的な健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。特に注意すべきなのは、以下の3つのリスクです。

1. 噛み合わせのズレによる過剰な負担

歯並びが乱れていると、噛み合わせが不自然になり、特定のインプラントに強い力が集中してしまいます。これにより、インプラントがぐらついたり、周囲の骨に負担がかかって炎症を引き起こしたりするリスクが高まります。

2. 清掃性の悪化によるインプラント周囲炎

傾いたりねじれたりしている歯の周りは、汚れが溜まりやすく、歯ブラシも届きにくくなります。その結果、インプラントの周囲が炎症を起こすインプラント周囲炎になりやすくなります。重症化すると、インプラントが抜け落ちてしまう可能性もあります。

3. 再治療が必要になる可能性

歯並びを考慮せずにインプラント治療を進めた結果、数年後に噛み合わせが悪化したり、再治療が必要になったりするケースも少なくありません。せっかく治療したインプラントが無駄になってしまうリスクがあるのです。

歯並びに問題がある場合は、事前の精密な診断とリスクの見極めが非常に重要です。当院では、専門医が噛み合わせを詳しく診断し、安全性と長期的な予後を見据えた治療計画をご提案しています。

矯正は必要?それともインプラントだけでいい?年齢・希望別に整理

「歯並びも気になるけど、矯正まではしたくない」と考える方は少なくありません。矯正が必要かどうかは、年齢やお口の状態、そしてご本人の希望によって異なります。ここでは、代表的なケースを整理してご紹介します。

矯正が可能な若年・中年層の方

歯並びや噛み合わせに問題があり、年齢的にも体力面でも矯正が可能な場合は、まず矯正治療で歯並びを整えてから、インプラント治療を行うのが理想的です。

正しい位置に歯を並べることで噛み合わせのバランスが良くなり、インプラントが長持ちしやすくなります。

矯正を希望しない、または難しい高齢の方

「長期間の矯正治療は避けたい」「年齢的に難しい」といった理由で矯正を希望されない方も多くいらっしゃいます。

この場合は、歯並びへの影響を最小限に抑えられるよう、インプラントを最適な位置に設置するなどの工夫をすることで、部分的な治療を行うことも可能です。

ただし、その際は清掃性や噛み合わせのリスクについて十分に理解した上で、治療方針を決定することが非常に重要です。

矯正とインプラント、どう組み合わせる?治療方針の立て方

歯並びに問題がある場合、矯正とインプラントをどう組み合わせるかは、治療の成功を左右する重要なポイントです。ここでは、治療計画を立てる際に考慮すべき視点をご紹介します。

治療方針は「噛み合わせ」「欠損部位」「年齢」「生活背景」で決まる

治療方針を決定する際には、以下の要素を総合的に判断します。

  • どこに歯が欠損しているか
  • 噛み合わせにどれほどのズレがあるか
  • 年齢や治療期間に関するご希望

たとえば、前歯の歯並びが大きく乱れている場合は、先に矯正治療でスペースを確保してからインプラントを埋入することで、見た目と機能の両方を高いレベルで実現できます。

一方で、部分的な欠損で噛み合わせに大きな問題がなければ、インプラント単独での治療も可能です。

精密な診断で将来を見据えた治療計画を

当院では、歯科用CTや3Dシミュレーション、口腔内スキャナーを用いた精密検査を実施し、見た目や機能性だけでなく、将来のリスクを最小限に抑えた治療計画をご提案します。

インプラントと矯正をどちらか単独で考えるのではなく、お口全体のバランスを整えることが、結果的に「長持ちするインプラント治療」につながります。

歯並びとインプラント治療、最適な選択をするために

「歯並びが悪いけれど、インプラント治療はできるのだろうか?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。歯並びが悪いからといって、必ずしもインプラント治療ができないわけではありません。

しかし、歯並びの状態は見た目だけでなく、噛み合わせのバランスや清掃のしやすさ、そしてインプラントの寿命に大きく影響します。安易に治療を進めてしまうと、将来的なトラブルにつながるリスクもあるため、慎重な検討が必要です。

当院では、歯科用CTや3Dシミュレーションによる精密診査に基づき、患者さま一人ひとりに合った治療方針をご提案しています。矯正が必要かどうかも含めて、専門医が丁寧に診断・ご説明いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。

インプラント治療とは

歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。

手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。

インプラント治療に関する費用

内容メーカー/処置費用(税込)
上部構造(人工歯)ジルコニア/ハイトランス¥143,000
ジルコニアステイニング¥154,000
ジルコニアレイヤリング¥176,000
インプラント体(人工歯根)プラトン¥264,000
ネオデント¥297,000
ストローマン¥330,000
追加処置サージカルガイド¥66,000
ソケットリフト骨造成(GBR)¥55,000/本
サイナスリフト¥110,000

インプラント治療に伴う主なリスク・副作用

インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。

  • 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
  • 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
  • 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
  • インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
  • 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
  • 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
  • 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間

これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長

1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。