年齢を重ねても、しっかり噛んで食事を楽しみたい、見た目も自然な歯でいたい。
そう思うのはとても自然なことです。だからこそ、インプラントという選択肢について真剣に検討されている方も多いと思います。
けれど、将来もし介護が必要になったときのことを考えると、不安になるのもまた事実です。
インプラントは天然の歯と同じような機能を取り戻せる治療ですが、毎日の丁寧な歯磨きに加え、歯間ブラシや専用ブラシでの清掃、さらには定期的な歯科メンテナンスが欠かせません。
こうしたケアを怠ると、インプラントの歯ぐきが炎症を起こし、「インプラント周囲炎」という深刻なトラブルにつながる可能性もあります。
そのため、もし自分でケアができなくなったとき、その清掃を家族や介護スタッフに任せるのは、技術的にも時間的にも簡単なことではありません。
ここでは、「インプラントには惹かれるけれど、将来のケアまで考えると踏み切れない」そう感じている方に向けた解決策の1つをご紹介させていただきます。
Contents
高齢の方がインプラントで得られるメリット

将来のケアに不安があったとしても、「それでもインプラントにしたい」と考える方が多いのは、それだけの理由があります。
第一に、インプラントはしっかり噛めるという点で非常に優れています。
年齢を重ねると、やわらかい食事になりがちですが、よく噛めることは消化を助け、認知症や誤嚥の予防、筋力低下の防止にもつながるといわれています。
第二に、入れ歯に比べて違和感が少なく、食べ物の温度や味も感じやすいという点も大きなメリットです。外れたり、話しにくくなったりするストレスが少なく、日常生活の質を大きく向上させてくれます。
さらに、インプラントはあごの骨にしっかり力がかかることで、骨の吸収を防ぎ、顔つきの変化を抑える効果もあります。
入れ歯ではあごの骨が次第に痩せてしまうことが多く、見た目にも影響を与えることがあります。
このように、インプラントは「食べる」「話す」「見た目」といった基本的な生活の質を保つために、高齢の方にとっても大きな意味を持つ治療法なのです。
将来の介護を見据えた「切り替えられる」インプラントという選択
「今の生活では固定式のインプラントが快適。でも、将来もし介護されるようになったら、ちゃんと清掃できるだろうか?」
そんな不安を持つ方に知っていただきたいのが、「切り替え可能なインプラント」という選択肢です。
インプラントには、将来的に取り外し式の義歯(インプラントオーバーデンチャー)へ変更できる設計があります。
たとえば、現在は固定式の人工歯を使用しながら、必要になったときには上部構造だけを変更して、外して洗えるタイプへ切り替えることが可能です。
この設計なら、「今は快適に過ごしたい」「でも将来の介護にも備えておきたい」という両方の希望を叶えることができます。
大切なのは、あらかじめ将来の選択肢を想定してインプラントの本数や位置を設計しておくこと。
信頼できる歯科医とよく相談し、10年後、20年後の生活も見据えた治療方針を立てておくことで、将来的に介護が必要になった場合でも、インプラントのデメリットをできるだけ抑えることが可能です。
インプラントオーバーデンチャーとは?介護にやさしい理由

「インプラントオーバーデンチャー」とは、少数のインプラント(土台)に義歯を固定しながらも、必要に応じて取り外しができるタイプの治療法です。
簡単にいえば、「外れにくい入れ歯」と「しっかり噛めるインプラント」のいいとこ取りのような存在です。
この構造が、介護の場面でも非常に扱いやすい理由につながります。
最大のメリットは、義歯部分を取り外して丸洗いできること。
これにより、介護者が清掃を補助しやすくなり、インプラント周囲の汚れや炎症の予防もしやすくなります。
固定式のインプラントのように、口の中で複雑に磨き分ける必要がないため、口腔ケアの負担が大きく軽減されます。
さらに、オーバーデンチャーは2〜4本程度のインプラントでも安定した噛み心地が得られるように設計されており、治療の負担も比較的少なく済みます。骨が少ない方でも対応しやすく、高齢の方にも適した治療法といえます。
「取り外せる安心」と「しっかり噛める快適さ」の両方を持つインプラントオーバーデンチャーは、将来を見据えた選択肢として、多くの方にとって現実的かつ安心感のある方法といえます。
最初からオーバーデンチャーにすべき?それとも固定式インプラントが良い?
「将来の介護を考えると、最初からインプラントではなくてオーバーデンチャーにした方がいいのかな?」
「今はまだ元気だから、固定式のインプラントの方が快適かな?」
どちらを選ぶべきか迷う方も多いと思います。
結論としては、どちらにもメリットがありますが、判断のカギになるのは、いまの生活状況と将来の変化をどう見通すかという点です。
固定式のインプラントは、外れない安心感と快適な噛み心地があり、自分でケアができるうちは非常に快適に使える治療です。
一方、オーバーデンチャーは、最初から「取り外しが前提」の設計なので、将来的に介護が必要になる可能性が高い方には、より安心感があります。
いずれにしても、固定式のインプラントからオーバーデンチャーへの切り替えは後からでも可能なので、「今は固定式で快適に過ごし、将来必要になったときに切り替える」という段階的な方法をとる方も多くいらっしゃいます。
つまり、どちらが正解というわけではなく、自分にとっての優先順位をどう考えるかが大切です。
「今を快適に過ごしたい」のであれば固定式、「将来の管理のしやすさを最優先したい」のであればオーバーデンチャー、という考え方がひとつの目安になります。
高齢でもインプラントを諦めない
「高齢だから」「将来介護が必要になるかもしれないから」そんな理由でインプラントをあきらめる必要はありません。
大切なのは、「いま」の快適さと、「将来」の管理しやすさを両立できる選択肢があるということを知っておくことです。
インプラントはしっかり噛めることにより、健康寿命の延伸や生活の質の向上に大きく貢献してくれます。
そして将来、介護が必要になったときには、インプラントオーバーデンチャーへの切り替えといった柔軟な対応も可能です。
治療法は一つではありません。
固定式から始めて、必要に応じて取り外し式へ変更する。そんな段階的な選択も視野に入れながら、自分にとって最も納得できる治療法を選ぶことが、将来への安心につながります。
「噛むこと」をあきらめず、10年後・20年後も見据えたインプラント治療を。
まずは一度、北村総合歯科へご相談ください。
※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。
歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。
手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。
インプラント治療に関する費用
内容 | メーカー/処置 | 費用(税込) |
---|---|---|
上部構造(人工歯) | ジルコニア/ハイトランス | ¥143,000 |
ジルコニアステイニング | ¥154,000 | |
ジルコニアレイヤリング | ¥176,000 | |
インプラント体(人工歯根) | プラトン | ¥264,000 |
ネオデント | ¥297,000 | |
ストローマン | ¥330,000 | |
追加処置 | サージカルガイド | ¥66,000 |
ソケットリフト骨造成(GBR) | ¥55,000/本 | |
サイナスリフト | ¥110,000 |
インプラント治療に伴う主なリスク・副作用
インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。
- 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
- 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
- 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
- インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
- 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
- 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
- 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間
これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長
1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- インプラント講習会のインストラクター
- インプラントメーカー公認インストラクター(プラトンジャパン)
- 日本歯科放射線学会 優良医
- 日本歯科医師会 所属
- 多数の学会発表、インプラント専門誌、学術誌での発表実績あり