インプラントは「一度入れたら長く使う」大きな選択。だからこそ、「どの歯科医院で治療を受けるか」は、結果を大きく左右します。
専門医の在籍やCTなどの精密設備、骨造成への対応力、さらには使用するインプラントの信頼性や、治療後の保証制度まで。
見た目も機能も長く快適に保つためには、医院選びでチェックすべきポイントがたくさんあります。
ここでは、インプラント治療を成功に導くために知っておきたい医院選びの基準を、わかりやすく整理してご紹介します。
「後から後悔しない選択」のために、ぜひご一読ください。
Contents
専門医の資格と実績



インプラント学会の専修医
インプラントは高度な医療技術が求められる治療のため、専門医の資格を持つ歯科医師に任せることが重要です。
実際、専門医や口腔外科医によるインプラント治療は、一般歯科医が担当した場合に比べて成功率が高く、失敗率が抑えられているという調査結果があります。特に学会認定の専門医は、臨床経験や症例提出、学会発表などの厳しい要件をクリアしており、その技術力には裏付けがあります。
また、年間に多くの症例をこなしている医院ほど、複雑な症例への対応力が高く、トラブルの発生率が抑えられる傾向が確認されています。
症例数の多さや成功率を公開している医院は、治療の再現性に自信を持っている証拠であり、患者としての安心感にもつながります。
インプラント治療を成功させるために必要な設備




インプラント治療では「精度」が特に重要です。設備が不十分だと、長期的な安定性や美しさに影響が出る可能性があります。
まず、歯科用CT(立体撮影装置)が備わっている医院なら、骨の厚さや神経・空洞の位置を高い精度で把握できます。これにより、術前に危険な部位を特定し、より安全にインプラントを埋入することができます。従来の2次元的なレントゲンだけでは、こうしたマイナーなズレが見逃されやすくなります。
次に、サージカルガイド(手術用テンプレート)を使うことで、計画した角度・深さ・位置に正確にドリルを導けます。テンプレートを使用した埋入では精度が高まり、噛み合わせや見た目の再現性、合併症のリスク低減にも効果的です。
さらに、専用オペ室や高度な滅菌設備が整っている医院での治療は、インプラント周囲炎など術後の感染リスクを抑制できます。手術室が無菌環境であれば、より安心して治療を受けられます。
骨が薄い場合の骨造成への対応
インプラントを安定して長く使うためには、しっかりとした「骨の土台」が欠かせません。骨の厚みが不足している状態で無理にインプラントを埋め込むと、将来的に傾きやぐらつきのリスクが高くなってしまいます。そのため、骨造成に対応できる医院を選ぶことが重要です。
骨造成を得意とする医院であれば、骨の状態に関係なく安定した治療計画を立てることができ、「骨が薄いから無理かも…」といった不安も和らぎます。安心して治療に臨むためにも、対応力のある医院かどうかを確認しておきましょう。
インプラントを入れる部位ごとのスキル
インプラント治療は、埋め込む部位によって求められる技術や注意点が異なります。そのため、医院を選ぶ際には「どの部位に強いか」「実績があるか」といった対応力も重要な判断基準になります。
前歯は「見た目」と「精度」の両立が必要

前歯は、笑ったときや話したときに見えるため、美しさが特に重視される部位です。位置や角度、深さがわずかにズレるだけでも、歯の長さが不自然に見えたり、歯ぐきのラインが揃わなかったりと、仕上がりに大きく影響します。こうした見た目のトラブルを避けるには、立体的な診断とガイドを活用した精密な処置、そして自然な仕上がりを実現する調整力のある医院が安心です。
奥歯は「噛む力」と「骨の状態」がポイントに

奥歯は日常的に強い力が加わるため、インプラントにも大きな負荷がかかります。特に上あごの奥は骨が柔らかく、下あごでは神経が近いため、角度や深さのミスが起こりやすい部位でもあります。そのため、骨の硬さや量を見極めたうえで、適切な補強やかみ合わせの設計ができる医院を選ぶことが重要です。
全顎治療(All-on-4など)は「総合的な設計力」が必要

すべての歯をインプラントで補う全顎治療では、噛む力の分散、骨のバランス、角度設計など、より高度な診断と設計が求められます。このような治療を安心して任せるためには、CTやサージカルガイドなどの設備が整っており、総合的な判断力と経験を持つ歯科医院を選ぶことが大切です。
信頼できるインプラントメーカーを採用しているか
インプラントは体の一部として長く使うものだからこそ、「どのメーカーの製品を使っているか」は重要なチェックポイントです。
国内ではチタン製のインプラントが主流ですが、実はメーカーによって品質や実績に大きな差があります。信頼性の高いメーカーは、世界的に多くの症例や長期データがあり、将来パーツ交換が必要になったときにも対応しやすいというメリットがあります。
一方で、価格を抑えるために実績の少ない製品を使っている医院もゼロではなく、こうしたケースでは、数年後に部品が手に入らなくなるなどのリスクも考えられます。
治療を受ける前には、使用しているインプラントメーカー名を確認し、そのメーカーの実績や信頼性について説明してくれる医院かどうかを見極めることが、将来の安心につながります。
カウンセリングの丁寧さと選択肢の提示

インプラント治療を安心して進めるには、最初のカウンセリングの質がとても大切です。自分の不安や希望に耳を傾けてもらえ、納得したうえで治療を選べるかどうかが、医院選びのポイントになります。
カウンセリングでは、口の状態だけでなく、生活習慣や気になることなどを丁寧に聞き取ってくれるかどうかが重要です。こうした対話がしっかりできると、術後の不安も軽減し、治療全体に対する満足度も高まります。
また、「インプラントしか選べない」のではなく、入れ歯やブリッジなど他の選択肢も含めて、違いやメリット・デメリットを比較しながら一緒に考えてくれる医院なら、信頼して相談できるでしょう。
医院選びのチェックポイント
- 自分の話をしっかり聞いてくれる姿勢があるか
- インプラント以外の治療法についても説明があるか
- 治療内容・回数・費用・リスクを丁寧に説明してくれるか
- 質問に対して誠実で明確に答えてくれるか
- ライフスタイルや希望に合わせた提案がされているか
保証制度の有無と内容
インプラントは決して安価な治療ではないからこそ、治療後に万が一のトラブルが起きたときの「保証制度」が整っているかは、歯科医院選びの大切な基準のひとつです。
保証内容や対象範囲は医院によって異なりますが、以下のような点を事前に確認しておくと安心です。
- どの部位・部品が保証対象になるのか(例:インプラント体、アバットメントなど)
- 保証期間は何年か(一般的には5〜10年)
- 保証を受けるための条件(多くの場合は定期メンテナンスの受診が必要)
- 経年変化や事故による破損など、対象外になるケースは何か
こうした条件をあらかじめ明示してくれる医院は、治療後の責任もしっかり見据えた運営をしているといえます。
「第三者保証制度」があるとさらに安心
医院独自の保証に加え、近年は「第三者保証制度(例:ガイドデント)」を導入している歯科医院もあります。
この制度は、保証内容の審査・運用を中立的な外部機関が行うもので、以下のようなメリットがあります。
- 引っ越しなどで通院できなくなっても、提携医院で保証を引き継げる
- トラブル時に第三者機関が仲介するため、患者と医院の間で揉めにくい
- 保証期間が明確(たとえば10年間など)で、一定の品質基準を満たした医院しか登録されていない
高額な治療だからこそ、こうした信頼性ある制度の有無が、医院選びの安心材料になります。
自分に合った歯科医院を選ぶことが、インプラント成功への第一歩
インプラント治療は、単なる「歯を入れる治療」ではありません。治療の成功には、歯科医師の技術力や設備の充実度、患者一人ひとりに合った提案、そして治療後のケアや保証制度まで、さまざまな要素が関係しています。
だからこそ、「どこで受けるか」は非常に重要な選択です。
専門医の資格や豊富な症例数があるか、CTやガイドなどの精密な設備が整っているか、骨造成をはじめ複雑な症例に対応できるか、部位ごとの治療に強みがあるか。これらはすべて、あなたのインプラント治療を成功に導くための土台になります。
また、使っているインプラントメーカーが信頼できるものであること、丁寧なカウンセリングと治療説明が受けられること、さらに、第三者保証制度を含むアフターケア体制が整っているかも、安心して治療を受けるうえで欠かせない判断材料です。
「なんとなく近いから」「料金が安いから」だけで選んでしまうと、後悔することになるかもしれません。自分にとって本当に信頼できる医院を選ぶことが、インプラントを長く快適に使うための一番の近道です。
※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。
歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。
手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。
インプラント治療に関する費用
内容 | メーカー/処置 | 費用(税込) |
---|---|---|
上部構造(人工歯) | ジルコニア/ハイトランス | ¥143,000 |
ジルコニアステイニング | ¥154,000 | |
ジルコニアレイヤリング | ¥176,000 | |
インプラント体(人工歯根) | プラトン | ¥264,000 |
ネオデント | ¥297,000 | |
ストローマン | ¥330,000 | |
追加処置 | サージカルガイド | ¥66,000 |
ソケットリフト骨造成(GBR) | ¥55,000/本 | |
サイナスリフト | ¥110,000 |
インプラント治療に伴う主なリスク・副作用
インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。
- 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
- 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
- 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
- インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
- 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
- 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
- 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間
これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長
1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- インプラント講習会のインストラクター
- インプラントメーカー公認インストラクター(プラトンジャパン)
- 日本歯科放射線学会 優良医
- 日本歯科医師会 所属
- 多数の学会発表、インプラント専門誌、学術誌での発表実績あり