入れ歯は、長く使用しているとズレたり不安定になり、食べ物を噛んだり発話に支障をきたすことがあります。

専門的な視点で見ても、入れ歯を長く使用することは、あごの骨が縮んでしまう要因になるため、長年使用することで、入れ歯のフィット感の問題をさらに悪化させることがあります。

そんなとき、見た目も使い心地も自然な歯とほとんど変わらないインプラントの存在を知り、興味を持たれた方も多いのではないでしょうか?

ここでは、入れ歯を使用されている方がインプラントに切り替える際の治療の選択肢と、いろいろな疑問にお答えしていきたいと思います。

インプラントのメリットと具体的な生活の改善

インプラントは、入れ歯を使用する上で感じる問題点を根本的に解決する治療法の1つです。

特に、噛む力と安定感が向上するのが大きなメリットです。あごの骨に固定されたインプラントによって自然な歯と同じように強く、硬い食べ物でもしっかり噛めるようになるからです。

インプラントにすることで食事の楽しみが増し、よく噛むことによって栄養摂取も改善されます。

さらに、インプラントは入れ歯とは違い、しっかり安定するので発音もはっきりして、見た目も自然な歯に近いため笑顔にも自信を持ちながらコミュニケーションを取ることができるようになります。

このようにインプラントというは、歯の機能面だけでなく、生活の質も大きく向上させてくれるのです。

入れ歯と比較した場合のインプラントのメリット

  1. 咀嚼能力の向上
    入れ歯はしばしばズレるため、食べ物を噛むときに不便に感じることがあります。一方、インプラントは自然な歯と同等の力で噛むことができるため、食事の質が大きく向上します。硬い食べ物も楽に食べられるようになり、栄養バランスの改善にも繋がります。
  2. 発音の改善
    入れ歯の不安定さは発音にも影響を及ぼします。インプラントはその安定性から、より自然でクリアな発音を可能にします。これは社会的な場面での自信に直結し、コミュニケーションがスムーズになります。
  3. 審美性の向上
    入れ歯は見た目の点で自然さが欠けるところがありますが、インプラントは自然な歯とほとんど変わらないため、笑顔がより自然になり外見に対する自信を取り戻すことができます。
  4. 長期的な口内健康
    入れ歯の長期使用はあごの骨の退縮を加速することが知られています。インプラントは骨と結合し、この骨の退縮を防ぐ役割を果たします。これにより、顔の形状が保たれ、健康的な口内環境が維持されます。

入れ歯からインプラントへ移行する際の疑問点

ここでは皆さんが入れ歯からインプラントへ移行する際に疑問に感じるであう点についてご説明します。

Q
すべての入れ歯をインプラントに置き換える必要がありますか?
A

必ずしもすべてを置き換える必要はありません。部分的に入れ歯を使い続けることも可能ですし、必要な部分だけインプラントにすることもできます。

Q
インプラントにするための条件はありますか?
A

基本的にはあごの骨が健康であることが条件です。また、全身疾患を持っている方や喫煙者は、事前に医師とよく相談することが重要です。

Q
長年の入れ歯使用であごの骨が退縮してしまった場合、インプラントは可能ですか?
A

はい、可能ですが、あごの骨が退縮している場合、骨造成手術が必要になることがあります。この手術は、インプラントをしっかり支えるために骨を再構築するもので、インプラント治療の成功率を高めます。

Q
骨造成手術はどのようなものですか?
A

骨造成手術は、不足している骨を補うために行われます。当院では、人工骨材料を使用して、顎骨を増量する手術を行なっています。

Q
入れ歯の使用によるあごの変形が進んでいる場合、治療にどれくらいの時間がかかりますか?
A

あごの変形が進んでいる場合、治療計画の作成や骨造成手術を含め、通常よりも長い治療期間が必要になることがあります。具体的な期間は個々の状況によって異なりますが、1年以上の治療期間が必要な場合もあります。

入れ歯からインプラントへの切り替えの選択肢

入れ歯からインプラントへの移行には、患者様の状態に応じていくつかの治療法が選択できます。

ここでは、一般的な選択肢として「インプラントブリッジ」「オールオン4」「インプラントオーバーデンチャー」の3つについてご説明します。

1. インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーは、数本のインプラントによって支えられる取り外し可能な入れ歯で、総入れ歯の方におすすめの治療法です。

入れ歯よりも大幅に安定性が向上し、自然な歯に近い機能を回復します。また、入れ歯と同じように取り外しが可能なのでお手入れが容易で、口内衛生を維持しやすいのが特長です。

ただし、一般的なインプラントのように人工歯を完全に固定するわけではないため、インプラントに比べると安定性の面では劣ります。

2. オールオン4

オールオン4は、4本のインプラントを使用して総入れ歯を完全に固定する方法です。こちらも総入れ歯の方におすすめの治療法ですが、インプラントオーバーデンチャーのように取り外しはできません。

オールオン4は、高い安定性を提供し、自然な歯に非常に近い機能と見た目を回復します。また、短い治療期間で行えるのもメリットです。

オールオン4は、もともと欧米で始まった治療法のため、あごの骨が欧米人に比べて細い日本人は、インプラントを6本以上で支えた方が良い場合もあります。患者さんそれぞれにあった治療計画を立案致します。

3. インプラントブリッジ

インプラントブリッジは、簡単に言うとインプラントで固定するブリッジのことです。

この治療法は、複数本の部分入れ歯やブリッジを使用されている方におすすめです。

インプラントオーバーデンチャーやオールオン4とは違い、顎骨の十分な量と質が必要になるため、より複雑な手術が必要になるケースもありますが、治療後の審美性がもっとも自然に見える治療法です。

これらの選択肢を理解することで、自分のお口の状態や生活スタイル、予算に合わせたインプラントの形態を選ぶことができます。どちらの方法もそれぞれに利点と制約があり、治療前に歯医者さんで詳しく相談することが重要です。

あなたに最適な選択を

入れ歯からインプラントへの移行を考える際は、情報をしっかりと把握し、慎重に選択肢を検討することが重要です。

北村総合歯科では、患者様一人一人のお口の状態に合わせて、最適な治療法を提案しています。まずは患者様のご希望をじっくりとお聞きし、適切な治療選択ができるように、無料カウンセリングもご利用いただけます。インプラントのご検討中の方は、どうぞお気軽にご相談ください。

※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。

インプラント治療とは

歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。

手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。

インプラント治療に関する費用

内容メーカー/処置費用(税込)
上部構造(人工歯)ジルコニア/ハイトランス¥143,000
ジルコニアステイニング¥154,000
ジルコニアレイヤリング¥176,000
インプラント体(人工歯根)プラトン¥264,000
ネオデント¥297,000
ストローマン¥330,000
追加処置サージカルガイド¥66,000
ソケットリフト骨造成(GBR)¥55,000/本
サイナスリフト¥110,000

インプラント治療に伴う主なリスク・副作用

インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。

  • 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
  • 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
  • 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
  • インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
  • 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
  • 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
  • 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間

これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長

1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。