一口に「インプラント」といっても前歯と奥歯など部位によって難易度や重視するポイントは異なります。
特に前歯は常に見える場所にあるため、食べ物を噛むといった機能面だけでなく見た目の美しさ・審美性がとても重要になってきます。
この点において、歯科医院の実力が重要であることは言うまでもありません。
実際、インプラント治療を検討されている方は技術力や実績を基準に歯医者さんを選ばれることが多いと思います。
でも、実は「審美性」という点において、それだけでは実は不十分だということも事実です。
これは歯科医院ではあまり語られていないことですが意外と重要な話です。
なぜなら、機能的で美しい人工歯を作るのは「歯科技工所」が役割を担っているからです。
Contents
歯科技工所も審美性を決める要因の1つ
私たち歯科医院は歯の治療を行うのが仕事ですが、入れ歯やインプラントといった人工歯そのものを製作しているわけではありません。
人工歯を製作するのは歯科技工所という別の場所になります。
そのため、審美性のある人工歯を提供するためには、私たち歯科医院のスキルに加えて、歯科技工所がいかに高品質で審美性のある人工歯を作ってくれるのかにかかっています。
一般的な歯科医院の場合、この人工歯の製作を外部の歯科技工所に依頼するケースがほとんどです。
でも、当院の場合は、インプラント専門のラボが併設されていて患者さんのニーズや期待により早くより細やかに応えられるような体制になっています。
ここでは、審美性のあるインプラントを製作する上では、実はこんなところも重要ですというお話を歯科技工所という観点からお話していきたいと思います。
前歯の色を合わせる工夫

歯の色というのは人によって微妙に違います。
同じ人の歯でもよく見てみると1本1本違う色をしているので、インプラントが両隣の色とうまく調和していないと1本だけ色が浮いてしまったり不自然になってしまいます。
このような微妙な色の違いを調整し本物の歯のような歯を再現するために次のような工夫が行われます。
写真撮影による色のズレ

前歯の色を決める際、色のサンプルを使って患者さんと一緒にその場で最適な色を決めることができれば、色の選定は比較的簡単です。
でも、複雑な色合いになるケースでは、サンプルだけでなく写真撮影を行って写真から色合いを再現する必要があります。
このとき問題になるのが「写真」と「実物」の色の違いです。
撮影する環境により、蛍光灯やLED、太陽光、明るさなど様々な条件で光の波長が異なるため、実物と写真の色が全く同じもになるということはありません。
そのため、撮影を行う際は、撮影の環境を整えたり撮り方や角度を工夫して、写真の色味を後から調整し、実物の色が再現できるような工夫が必要になります。
一見、インプラントとは無関係に思える話ですが、このような1つ1つの工程を丁寧に行うことで、より高品質なインプラントをできるだけ後から修正を加えることなく作る上で重要なのです。
焼成後の色の変化
インプラントの人工歯の部分は、見た目が自然な歯に最も近く硬度も高いことから主にセラミックで作られます。
このセラミックの材料は、もともと粘土のような柔らかい材質でできていて、形を整えた後、高温で焼き固めることで完成します。
たとえるなら陶芸のようなものです。
陶芸家が窯から出した器の色合いに納得できず器をパリンッ!と割る場面をテレビで見たことがある方もいらっしゃると思います。
セラミックの人工歯も陶芸品と同じように焼くことで色が微妙に変化するため、その色合いの変化を考慮した上で色の選定をする必要があり、そこには歯科技工士の経験値が必要になります。
透明度の調整

前歯をよく見ると、歯先が微妙に透き通っているのが分かると思います。
このような透明度もセラミックを使うことで再現が可能です。
患者さんによって歯の透明度はそれぞれ異なるため最適な度合いに調整します。
天然歯の場合は、表面のエナメル質と内部にある象牙質とで光の透過性が異なるので、これをより正確に再現するため、「レイヤリング」といってセラミックを何層も盛り合わせるという技法が用いられる場合もあります。
このように、色や透明度など本物の歯とそっくりな人工歯を作るためには、歯科技工所の匠の技が必要です。
サイズの調整
先ほど、セラミックは高温で焼き固めて作るというお話をしましたが、焼き上がった際にセラミックはサイズや形が変化する場合があります。
一般的に、セラミックを焼くと収縮して小さくなることが多いので、出来上がりのサイズをあらかじめ計算した上で、焼くときの温度や時間、冷却する速度などを調整し、条件を管理していきます。
このような調整は、セラミックの材料ごとにそれぞれ異なるため常に試行錯誤が必要とされます。
高品質な人工歯を作るためには、私たち歯科医院だけでなく、見えないところで歯科技工所が重要な役割を担っています。
当医院はインプラント専門の歯科技工所が併設
インプラントの審美性においては、歯科技工所という場所の重要性がご理解いただけたと思います。
審美性という点に限らず、インプラント治療というのは私たち歯科医院と歯科技工所の知識と経験を駆使することで、初めて患者さんに喜んでいただくことができるものだと思っています。
そのため、当院では設立40年近い歴史を持つインプラント専門の歯科技工所を併設して、高品質な人工歯を患者さんのニーズや期待に合わせて製作できる体制を整えています。
前歯など見た目の美しさを重視したインプラントをご検討されている方は、当医院までお気軽にご相談ください。
※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。
歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。
手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。
インプラント治療に関する費用
内容 | メーカー/処置 | 費用(税込) |
---|---|---|
上部構造(人工歯) | ジルコニア/ハイトランス | ¥143,000 |
ジルコニアステイニング | ¥154,000 | |
ジルコニアレイヤリング | ¥176,000 | |
インプラント体(人工歯根) | プラトン | ¥264,000 |
ネオデント | ¥297,000 | |
ストローマン | ¥330,000 | |
追加処置 | サージカルガイド | ¥66,000 |
ソケットリフト骨造成(GBR) | ¥55,000/本 | |
サイナスリフト | ¥110,000 |
インプラント治療に伴う主なリスク・副作用
インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用が伴う可能性があります。
- 外科手術に伴うリスク
手術後に痛み、腫れ、出血、内出血、感染症などが生じることがあります。 - 神経や血管の損傷
下顎のインプラント手術では、下歯槽神経や血管を損傷するリスクがあり、知覚異常や麻痺、大量出血を引き起こす可能性があります。 - 上顎洞への影響
上顎にインプラントを埋入する際、上顎洞を損傷するリスクがあり、蓄膿症などの副作用が生じる可能性があります。 - インプラントの不適合
インプラントが骨と結合しない場合、再手術やインプラントの除去が必要となることがあります。 - 全身疾患との関連
糖尿病や骨粗鬆症などの全身疾患を有する方は、治療のリスクが高まる可能性があります。 - インプラント周囲炎
術後の口腔衛生が不十分な場合、インプラント周囲の組織に炎症が生じ、最悪の場合インプラントが脱落することがあります。 - その他のリスク
食べ物が詰まりやすくなる、噛む感覚が自分の歯と異なる、治療費が高額で治療期間が比較的長いなどの点が挙げられます。
これらのリスクや副作用について十分にご理解いただいた上で、インプラント治療を検討される際は、治療実績が豊富で、丁寧なカウンセリングやアフターケアを提供している歯科医院を選ぶことが重要です。
院長プロフィール

北村 英二(きたむら えいじ)
当院は、インプラント治療をはじめとする口腔外科分野において、豊富な臨床経験と専門知識を持っています。患者様一人ひとりの状態やご要望に応じた治療計画を提案し、痛みの軽減に配慮した治療を心がけています。
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- インプラント講習会のインストラクター
- インプラントメーカー公認インストラクター(プラトンジャパン)
- 日本歯科放射線学会 優良医
- 日本歯科医師会 所属
- 多数の学会発表、インプラント専門誌、学術誌での発表実績あり
- 1998年 日本大学松戸歯学部 卒業
日本大学大学院松戸歯学研究科入学 口腔外科Ⅰ - 2000年 University Of North Carolina Dental Research Center Collagen Biochemistry 留学
- 2002年 日本大学松戸歯学部顎顔面外科学 助手
- 2006年 医療法人藤慈会 藤井病院 歯科・口腔外科 部長
- 2015年 医療法人育進会 水口インプラントセンター新宿 院長
- 2021年 北村総合歯科 開業 現在に至る