インプラント治療を検討しているけれど、喫煙しているので自分は治療が受けられないのだろうか?
そんな方に向けて、インプラント治療と喫煙についてお話させていただきます。
結論からいうと、喫煙をされていてもインプラント治療を受けることはできます。
ただし、いわゆるヘビースモーカーの方、1日に21本以上タバコを吸うような方は治療が受けられない場合もありますので注意が必要です。
いずれにしても、喫煙はお口の中に悪影響を及ぼすものですので、ここでは具体的にどのような影響を与えているのか、そのリスクについてお話しさせていただきます。
Contents
喫煙の悪影響1:ニコチンが血管を収縮させる
タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる働きがあります。
血管が収縮されると血流が阻害されてしまうため、必要な酸素や栄養がうまく行き渡らなくなってしまうため、治療を受けたあとの傷口が治りにくくなったり、インプラントが骨にしっかり結合してくれないといった症状を引き起こすリスクが高まります。
喫煙の悪影響2:一酸化炭素がヘモグロビンの働きを阻害する
ヘモグロビンは血液中で全身に酸素を運ぶ役割をもっています。
本来は、酸素と結びつくはずのヘモグロビンなのですが、喫煙をすることで一酸化炭素と結合してしまい、血液中の酸素の供給量が減ってしまうリスクがあります。
一酸化炭素は、酸素と比べて250倍以上もヘモグロビンと結合する力があることが知られています。
喫煙の悪影響3:白血球の働きが阻害される
白血球は体内で細菌と戦うなど、体を外敵から守る役割を持っています。
ところが、喫煙をすることで白血球の働きが阻害されてしまうことが分かっています。
結果として、喫煙をされている方はそうでない方に比べて炎症が悪化しやすく、インプラント治療をした際に傷口の悪化を引き起こしやすくなってしまいます。
喫煙の悪影響4:唾液の自浄作用が弱まる
唾液には、お口の中の細菌が繁殖するのを抑える自浄作用があります。
ところがタバコに含まれるニコチンが血管を収縮すると唾液の分泌量が抑制されてしまいます。
唾液が減ったお口の中は細菌の繁殖がしやすい環境になってしまい虫歯や歯周病のリスクが高まります。
特にインプラントを失ってしまう原因として最も注意しなければいけないインプラント周囲炎のリスクを高めることにつながりますので特に注意が必要です。
喫煙の悪影響5:免疫力を低下させる
タバコに含まれるニコチンやタール、一酸化炭素などの有害物質には免疫力を低下させる働きがあることが分かっています。
インプラントに限らず、治療には患者様の免疫力と自然治癒力が不可欠ですので、免疫力が阻害されてしまうと、治療を受けても短期間で状態が悪化してしまうリスクが高くなります。
インプラント治療と合わせて生活習慣の見直しを
以上、喫煙による5つの悪影響について見てきました。
喫煙は、インプラント治療中においては傷口が治りにくかったり、悪化してしまうリスク、インプラントが骨にしっかり固定されなくなるリスクがあることが分かりました。
また、治療を終えたあとでもインプラント周囲炎のリスクを高めてしまうことも分かっています。
今まで喫煙されてきた方が、治療をきっかけに急に禁煙をするのは難しいかもしれません。
でも、特にヘビースモーカーの方は喫煙の量を減らすなど生活習慣の改善とあわせて治療をしていただくことをおすすめします。
※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。
歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。
手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。
インプラント治療に関する費用
内容 | メーカー/処置 | 費用(税込) |
---|---|---|
上部構造(人工歯) | ジルコニア/ハイトランス | ¥143,000 |
ジルコニアステイニング | ¥154,000 | |
ジルコニアレイヤリング | ¥176,000 | |
インプラント体(人工歯根) | プラトン | ¥264,000 |
ネオデント | ¥297,000 | |
ストローマン | ¥330,000 | |
追加処置 | サージカルガイド | ¥66,000 |
ソケットリフト骨造成(GBR) | ¥55,000/本 | |
サイナスリフト | ¥110,000 |
インプラント治療に伴う主なリスク・副作用
インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。
- 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
- 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
- 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
- インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
- 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
- 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
- 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間
これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長
1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- インプラント講習会のインストラクター
- インプラントメーカー公認インストラクター(プラトンジャパン)
- 日本歯科放射線学会 優良医
- 日本歯科医師会 所属
- 多数の学会発表、インプラント専門誌、学術誌での発表実績あり