歯を失って悩まれている方にとって、オールオン4は画期的な治療法として魅力があります。

オールオン4は、たった4本のインプラントで上下どちらかの歯全体を支えることができるので、短期間に費用を抑えて治療ができるからです。

しかし、この治療法が本当に適しているかどうかは、患者さま一人ひとりの状態に大きく左右されます。

オールオン4は欧米で開発されたという経緯もあり、欧米人とあごの骨格や骨密度が異なる日本人に適用するには、慎重な検討が必要だからです。

ここでは、オールオン4の治療を受けたものの、期待した結果が得られなかった方に向けて、再治療の可能性とその選択肢についてお話します。

オールオン4で期待通りの結果が得られなかった理由

オールオン4は適切な条件が整えば、快適な生活を取り戻すための優れた治療法です。しかし、全ての方に理想的な結果をもたらすわけではありません。

オールオン4で結果が思わしくない場合、主な理由は下記の2つが考えられます。

1. 骨の状態

オールオン4は、十分な骨の量と質があることが前提となる治療法です。インプラントを支える土台となるあごの骨が十分でない場合、4本のインプラントのみで安定性を保つのが難しいからです。また、日本人には欧米人用に設計されたインプラントが合わないことも多く、これが問題の一因となることがあります。

2. 治療後の過ごし方

インプラント治療直後は、骨とインプラントがしっかり結合するまでの期間が非常に重要です。この期間中に固いものを食べる、過度にインプラントに負担をかけるといった行動は、トラブルの原因になる可能性があります。

オールオン4は、インプラントを斜めに配置して骨との接触面積を増やし、安定性を確保する仕組みになっています。このため、術後すぐに仮歯を装着して「即時荷重」が可能です。ただし、仮歯の装着中は噛む力を抑え、柔らかい食事を心がける必要がありますが、間違って術後に普通の食事をしてしまうと、失敗の原因となります。

以上のような理由から他医院でオールオン4治療を失敗してしまい、「モノが噛めない」「激痛がする」とご相談をいただく患者様が実際にいらっしゃいます。

再治療で期待できる解決策

オールオン4で思うような結果が得られなかった場合でも、適切な再治療によって改善は可能です。当院で実際に再治療として効果が見られた例を2つご紹介します。

インプラントオーバーデンチャーへの移行

奥歯の骨量が少ない場合、インプラントオーバーデンチャーという選択肢が効果的です。この治療法では、少数のインプラントで義歯をしっかりと支えることができます。

特に以下のような方に適しています。

  • ご高齢の方や将来的に介護が必要になる可能性がある方
    着脱が可能なため、ご自身やご家族による口腔ケアが行いやすい
  • 経済的により合理的な治療をお求めの方
    使用するインプラントの本数が少なくて済む
  • お手入れを重視される方
    取り外して清掃できるため、衛生管理が容易

インプラントオーバーデンチャーは、骨量が少ない場合でも効果的な理由があります。この治療では、義歯がインプラントだけでなく歯茎からも支えられる設計となっており、噛む力が分散されるため、インプラントへの負担を軽減できます。また、インプラントの配置に柔軟性があり、骨量が十分な部分を選んで埋入することが可能です。

加えて、万が一の体調変化や将来の治療内容の変更が必要になった場合でも、着脱式であることで治療の自由度が高く、長期的な口腔内の健康管理を考えた際の選択肢として、多くの方に選ばれています。

インプラント本数の調整

オールオン4で十分な安定が得られなかった場合、6本~8本にインプラントを増やすことで支えを強化する治療法があります。より多くの支点を設けることで、噛む力をバランスよく分散させることができます。

特に以下のような方に適しています。

  • しっかりと噛みたい方(固定式のため、自然な噛み心地に近づけやすい)
  • 十分な骨量がある方、または骨造成が可能な方
  • 着脱の手間なく、天然歯に近い感覚で使用したい方
  • お若い方で、より長期的な安定性を重視される方

ただし、この方法には十分な骨量が必要となるため、状況に応じて骨造成などの処置が必要になる場合があります。骨の状態を詳しく診査した上で、長期的な安定性を考慮しながら、最適なインプラントの本数を決定していきます。

どちらの治療法を選択する場合も、一度に全ての処置を行うのではなく、段階的に進めていくことが重要です。

例えば、痛みが強い場合には一時的に義歯を使用して症状を和らげ、その後、計画的にインプラントを追加していきます。このように、患者さまの状態に合わせて慎重に治療を進めることで、より確実な結果につながります。

「もう一度噛める喜び」を取り戻しましょう

オールオン4で期待通りの結果が得られなかったとしても、諦める必要はありません。再治療によって、多くの方が快適な生活を取り戻しています。

北村総合歯科では、骨量が少ない方にも対応できる骨造成の技術や、安心して治療を受けていただける最新のガイドシステムを用いた手術を行っています。また、切開や腫れを最小限に抑える新しい技術を採用しており、患者様の負担を軽減することに力を入れています。さらに、院内にはインプラント専門の歯科技工所を併設しており、迅速かつ高品質な補綴物を提供できる体制を整えています。

再び「噛める喜び」を取り戻し、快適な生活を手に入れるために、ぜひ一度北村総合歯科にご相談ください。

※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。

インプラント治療とは

歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。

手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。

インプラント治療に関する費用

内容メーカー/処置費用(税込)
上部構造(人工歯)ジルコニア/ハイトランス¥143,000
ジルコニアステイニング¥154,000
ジルコニアレイヤリング¥176,000
インプラント体(人工歯根)プラトン¥264,000
ネオデント¥297,000
ストローマン¥330,000
追加処置サージカルガイド¥66,000
ソケットリフト骨造成(GBR)¥55,000/本
サイナスリフト¥110,000

インプラント治療に伴う主なリスク・副作用

インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。

  • 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
  • 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
  • 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
  • インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
  • 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
  • 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
  • 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間

これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長

1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。