「部分入れ歯の違和感に悩んでいるけれど、私の年齢でインプラント治療は大丈夫?」
このような心配を抱えているご高齢の方もいらっしゃると思います。
インプラント治療は外科手術を伴う治療なので、手術の安全性や、治療後の生活への影響についての不安をお持ちになるのも無理はないですね。
ここでは、インプラント治療における高齢の方特有のリスクについてご紹介しながら、リスクを最小限に抑えるための方法についてお話していきます。
Contents
インプラント治療は何歳まで可能?年齢の限界について

そもそもインプラント治療に年齢の制限はあるのか?と疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
インプラント治療自体には年齢の上限は特に設けられていません。重要なのは、患者さんの全身の健康状態や口腔内の条件です。
健康な骨と適切な口腔衛生があれば、ご高齢であってもインプラント治療は可能ですし、実際、70代、80代でインプラント治療を受けて日常生活の質を向上させている患者さんはたくさんいらっしゃいます。
高齢者におけるインプラント手術のリスクとその対策

ご高齢の方がインプラント治療を受ける際には、以下のようなリスクが伴いますので、リスクを把握しながら適切に対処することが重要です。
- 手術に伴う一般的なリスク
年齢に関わらず、外科手術においては感染リスクは常に存在します。そのため、歯科医院では患者さんの安全を最優先に考え、厳格な衛生管理と感染予防対策を徹底しています。 - 治療後の回復に関するリスク
ご高齢の方は治療後の傷口の回復が遅れる場合があります。特に、骨とインプラントが結合するためには十分な期間が必要でこの期間が長引く可能性があります。そのため、手術後は患者さんの状態を密に観察し、必要に応じて追加のケや治療を行っていきます。 - 骨密度の問題
高齢になるにつれて骨密度が低下する傾向があるので、これがインプラントの固定に影響を与える可能性があります。骨の密度が足りない場合や骨が痩せてしまっている場合、骨造成と言われる骨の再生治療を行うことで骨の量を増やしインプラントの成功率を高めることが可能です。 - 既存の健康問題
心臓病や糖尿病などの既存の健康問題がインプラント手術のリスクを高める可能性があります。これらの状態は、手術中の出血リスクを増加させたり、治療後の回復期間に影響を与えることがあります。そのため、あらかじめ健康状態をしっかり把握して、必要に応じて他の医療専門家と連携を取りながら、最適な治療計画を立てていきます。 - インプラントの損失
インプラントが骨とうまく結合しない場合、結果としてインプラントの損失につながるリスクがあります。原因としては、骨密度や手術後のケア、健康問題などによって引き起こされます。インプラントの成功を確実にするためには、手術前の詳細な計画と手術後の適切なフォローアップが不可欠です。
当院では、これらのリスクを最小限に抑えるために、最新の技術と綿密な事前評価を行って患者さん一人ひとりに合わせた治療計画を立てています。
高齢者におけるインプラント治療のメリット

ご高齢に伴ってインプラント治療のリスクが高まることがあるのは事実です。でも、それらのリスクを考えた場合でも、今後の生活を考えると治療を受けるメリットは大きいです。
- 食事の質の向上
インプラントにより、若い頃のように硬い食べ物も楽しめるようになります。今まで食べずらいという理由で避けてきた、肉や野菜など栄養価の高い食べ物も避ける必要がなくなるので、栄養バランスの取れた食生活を送ることが可能になります。噛む力が向上することで、食事の満足度が高まり、全体的な生活の質が改善します。 - 笑顔に自信が持てるようになる
インプラントによって自然な歯に近い見た目を取り戻せるので、笑顔に自信がつき、社交活動や日常生活に積極的に参加することができるようになります。見た目の改善は、気持ちの面での満足感にも繋がります。 - 発音の改善
正しい噛み合わせと安定した歯は、発音の明瞭さに大きく寄与します。インプラント治療により、言葉がはっきりとし、日常のコミュニケーションがよりスムーズになります。 - 全体的な健康の向上
適切な噛み合わせは、食べ物のより良い消化を促進するため、栄養吸収を改善します。また、インプラントをすることで、お口の中の健康状態が保てるようになると、それが心臓病や糖尿病などの全身疾患のリスクを減らすことにも繋がります。
リスクを最小限に抑えるために

当院では、ご高齢の方にインプラント治療を受けていただくために、以下の対策を通じて、リスクを最小限に抑えるようにしています。
- 治療前の適切な診断
治療前の詳細な健康チェックを行うことで患者さんの全身状態や口腔内の具体的な状況を把握します。これには、血液検査や口腔内のX線撮影などが含まれ、患者さんのリスク要因を事前に特定し、適切な対応を計画します。 - 一人ひとりのオーダーメイドな治療計画
患者さん一人ひとりの健康状態、骨の状態、治療に対する期待などに基づいて、個別化された治療計画を立てます。これには、骨密度が低い場合に必要となる骨造成手術も含まれます。
歯科医院によっては、骨が薄い患者さんの対応ができないところもありますが、当院では骨の再生治療(骨造成)も対応できるので、ご高齢で骨密度が不安という方もご安心ください。 - できるだけ負担の少ない手術
手術では、患者さんの安全と快適性を最優先に考えた方法や器具を採用しています。
インプラントガイドと言われるカスタムメイドのガイドで手術の精度を大幅に向上させ、特に骨量が少ない患者さんにはオステオプッシャーと言われる器具で負担を最小限に骨造成を行います。
また、局所麻酔を使用することで、手術中の痛みや不快感を最小限に抑え、より快適に治療を受けていただけるように心がけています。 - 術後のケアとサポートの充実
術後は痛みや腫れが起こる場合がありますが、痛み止めの処方など快適な回復をサポートします。手術後の食事や口腔ケアについても指導を行い、定期的なフォローアップをしていきます。
これらの対策により、ご高齢の方でも安心してインプラント治療を受けることができ、治療後の生活の質の向上が期待できます。
まとめ
ここではご高齢の方がインプラント治療を受ける際のメリットとリスク、そしてそれらを最小限に抑えるための対策についてご紹介しました。インプラント治療は、適切に行われれば、高齢者の方々にも食事の楽しみや生活の質の向上をもたらすことができる治療法です。
もし、インプラント治療に関するご質問や不安がある場合、または具体的な治療のご相談をお考えの場合は、お気軽に北村総合歯科までご相談ください。
高齢者の方々が安心してインプラント治療を受けられるよう、常に最新の知識と技術でサポートいたします。
※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。
歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。
手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。
インプラント治療に関する費用
内容 | メーカー/処置 | 費用(税込) |
---|---|---|
上部構造(人工歯) | ジルコニア/ハイトランス | ¥143,000 |
ジルコニアステイニング | ¥154,000 | |
ジルコニアレイヤリング | ¥176,000 | |
インプラント体(人工歯根) | プラトン | ¥264,000 |
ネオデント | ¥297,000 | |
ストローマン | ¥330,000 | |
追加処置 | サージカルガイド | ¥66,000 |
ソケットリフト骨造成(GBR) | ¥55,000/本 | |
サイナスリフト | ¥110,000 |
インプラント治療に伴う主なリスク・副作用
インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。
- 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
- 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
- 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
- インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
- 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
- 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
- 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間
これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長
1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- インプラント講習会のインストラクター
- インプラントメーカー公認インストラクター(プラトンジャパン)
- 日本歯科放射線学会 優良医
- 日本歯科医師会 所属
- 多数の学会発表、インプラント専門誌、学術誌での発表実績あり