総入れ歯からインプラントへの切り替えを考えていて、オールオン4を勧められた。調べてみるとオールオン6という方法もあり、どちらがよいのか分からない。そうしたご相談をいただくことがあります。
ここでは、2つの違いがどこにあるのかを整理し、選ぶときに何を見ればよいのかをお伝えします。
オールオン4とオールオン6の違いは、支える本数と力の分け方


オールオン4は、片方のあご全体の歯を4本のインプラントで支える方法です。前方に2本、後方に2本を埋めます。
本数が少ない分、後方の2本は斜めに傾けて、長めのインプラントを入れるのが特徴です。斜めにすることで、上あごでは上顎洞、下あごでは神経を避けながら、骨の中に長く埋められるためです。
オールオン6は、そこに2本を加えて6本で支えます。本数をさらに増やして8本にすることもあります。
違いは本数だけのように見えますが、実際に変わるのは、噛む力をどう受け止めるかという設計です。
オールオン4の利点は、費用と手術の負担を抑えられること

オールオン4は、インプラントの本数が少ない分、費用を抑えられます。骨に埋める箇所も減るため、手術による体への負担は軽くなります。
条件が合えば、手術した日に仮歯を入れて食事ができます。歯がない期間を作らずに済むのは大きな利点です。
ただし、この利点には条件があります。
その日に噛めるかどうかは、初期固定が得られるかで決まる
手術した日に仮歯を入れて噛む方法を、即時荷重と呼びます。これができるのは、埋めた時点でインプラントがぐらつかずに固定されている場合です。
この状態を初期固定といいます。骨がやわらかい、量が足りないといった場合には得られません。
つまり、オールオン4を選べば誰でもその日から噛める、というわけではありません。骨の状態を調べたうえで判断することになります。
初期固定が得られないまま噛む力をかけると、インプラントが骨と結合しないまま動いてしまうことがあります。
そのため、初期固定が得られない場合は、その日に噛むのを見送り、インプラントと骨がしっかり結合するのを待ってから仮歯を使っていくことになります。
本数が少ないことは、骨に求められる条件にも関わってきます。
4本で支えるには、あごの骨がしっかりしていることが前提
オールオン4のような長めのインプラントを入れるには、その長さを受け止められるだけの骨が残っていることが前提です。
ところが、歯をすべて失っている方は、あごの骨がすでに痩せていることが少なくありません。
あごの骨は、噛むたびに歯を通して伝わる刺激によって保たれています。歯がなくなるとその刺激が届かなくなり、骨は少しずつ細く、低くなっていきます。入れ歯を長く使っている方ほど、その傾向があります。
骨が足りないまま4本で支えようとすると、次のようなことが起こりやすくなります。
- インプラントが骨としっかり結びつかず、早い時期に抜けてしまう
- 一部のインプラントに噛む力が集中してしまう
- 思った位置や角度に埋められず、噛み合わせに影響が出る
オールオン4という方法そのものに問題があるわけではありません。その方の骨の状態に合った計画になっているかどうかが、分かれ目になります。
オールオン6の利点は、本数を増やして噛む力を分散できること

支える本数が増えれば、インプラント1本あたりにかかる負担は減ります。噛む力が強い方や、歯ぎしり・食いしばりのある方でも、力が一点に集中しにくくなります。
長めのインプラントに頼るのではなく、数で安定させる考え方です。骨が痩せている場合でも、埋める位置を工夫することで対応できることがあります。
当院の場合は、4本ではなく6本、あるいは8本で支える方法を選ぶことが多いです。歯をすべて失った状態では骨が痩せていることが多く、数で支えるほうが日本人のあごの骨に合っていると考えているためです。
オールオン4は、ポルトガルの歯科医師が考案し、欧米を中心に広まってきた治療法です。日本人は欧米人に比べてあごの骨が薄い傾向があるといわれ、同じ考え方をそのまま当てはめると、合わない場合もあります。
ただし、本数を増やせば良いことばかりではありません。
オールオン6では、費用と治療期間が増える
本数が増える分、費用は高くなり、手術の範囲も広がります。
治療期間も長くなります。当院の場合は、インプラントと骨がしっかり結合するのを待ってから、噛む力をかけていく進め方をしているためです。
すぐに噛めることを最優先にするなら、この期間は短所になります。長く使うことを優先するなら、待つ意味のある期間です。
オールオン4とオールオン6で迷っている方はご相談ください
どちらが合うかは、あごの骨がどれだけ残っているか、噛む力がどれくらいかによって変わります。CTで骨の状態を確認しないことには判断できません。
まずは一度ご相談ください。北村総合歯科では、検査の結果をもとに、それぞれの方法の利点と注意点をご説明したうえで、一緒に決めていきます。
※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。
歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。
手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。
インプラント治療に関する費用
| 内容 | メーカー/処置 | 費用(税込) |
|---|---|---|
| 上部構造(人工歯) | ジルコニア/ハイトランス | ¥143,000 |
| ジルコニアステイニング | ¥154,000 | |
| ジルコニアレイヤリング | ¥176,000 | |
| インプラント体(人工歯根) | プラトン | ¥264,000 |
| ネオデント | ¥297,000 | |
| ストローマン | ¥330,000 | |
| 追加処置 | サージカルガイド | ¥66,000 |
| ソケットリフト骨造成(GBR) | ¥55,000/本 | |
| サイナスリフト | ¥110,000 |
インプラント治療に伴う主なリスク・副作用
インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。
- 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
- 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
- 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
- インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
- 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
- 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
- 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間
これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長
1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。
- 日本口腔インプラント学会 専門医
- インプラント講習会のインストラクター
- インプラントメーカー公認インストラクター(プラトンジャパン)
- 日本歯科放射線学会 優良医
- 日本歯科医師会 所属
- 多数の学会発表、インプラント専門誌、学術誌での発表実績あり