歯を抜くほどではないけれど、噛んだときになんとなく違和感がある。痛みはないので、そのうち治るだろうと様子を見ている。そうした状態が続いている方は少なくありません。

その違和感は、歯の根の先で炎症が起きているサインかもしれません。この炎症は、様子を見ていても自然に治ることはなく、痛みのないまま少しずつ進んでいきます。

ここでは、痛みがないまま進む炎症について、気づく手がかりと、放置したときに起こるリスクをお伝えします。

その違和感の正体は「根尖性歯周炎」かも?

この違和感の背景として考えられるのが、根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)です。歯の根の先、つまり歯を支える骨と接している部分に炎症が起きた状態を指します。原因は、歯の内部で増えた細菌です。

歯の中には神経が通っています。むし歯が深くまで進むと、この神経は細菌に侵されて働きを失います。以前に神経を取る治療を受けた歯も、同じく神経のない状態です。

神経を失った歯の内部で細菌が増えると、その細菌は根の先へと広がります。炎症はここから始まり、進行すると膿がたまっていきます。

歯の中の神経が失われているため、その歯自体が痛みを感じることはありません。そのため、炎症が急に強くならない限り、はっきりした痛みは出ず、何年もかけて静かに進んでいくこともあります。

痛みが出ない分、手がかりになるのは別の感覚です。

気づくきっかけは、噛んだときの違和感

歯の根の周りには、歯根膜という組織があります。歯の中の神経とは別のもので、神経を失ったあとも残り、かたさや噛みごたえを感じ取っています。

炎症がこの歯根膜まで広がると、噛んだ感覚が変わります。痛みとまでは言えないけれど、その歯だけ感じ方が違う、という状態です。

次のような心当たりがあれば、根の先で何かが起きているサインかもしれません。

  • 噛んだときだけ、その歯に違和感がある
  • 歯が浮いたような感じが続く
  • 歯茎にふくらみができて、しばらくすると消える
  • 疲れているときや体調を崩したときだけ痛む
  • 以前に神経を取る治療をした歯である

どれも軽い変化なので、日常のなかでは見過ごされがちです。ただ、この段階を過ぎると、あごの骨が溶け始めます。

進行すると、あごの骨が溶けて空洞ができる

膿はたまり続けると袋状になり、少しずつ大きくなっていきます。その過程で、周りのあごの骨を溶かしていきます。

袋の内側の圧が高まると、骨を突き破って歯茎から膿が出てくることがあります。ここまで進むと、抜歯が必要になることも少なくありません。

骨が失われていることは、レントゲンで根の先に黒い影として写って初めて分かることもあります。抜いてみたら想像より大きく骨がなくなっていた、ということも起こります。

骨を失うと、抜いたあとの治療にも影響が出てきます。とくに大きく関わるのが、歯を抜いたあとの治療としてインプラントを検討される場合です。

インプラントには、支えとなる骨が必要

インプラントは、あごの骨に人工の歯根を埋め込んで支えます。そのため、埋め込む場所に十分な骨の高さと厚みが必要です。

炎症で骨が大きく失われていると、そのままではインプラントを埋めることができません。支えとなる骨がなければ、インプラントを固定できないためです。

その場合は、先に骨造成という処置で骨を増やす必要があります。骨の材料を補い、骨が再生するのを待ってから、あらためてインプラントを埋めます。

骨が再生するまでには、半年から1年ほどかかることがあります。その分、治療期間は長くなり、手術の回数も費用も増えます。

違和感の段階で対処すれば、治療の負担を抑えられる

一方、違和感の段階で、炎症が小さいうちに対処できれば、根の治療で歯そのものを残せる可能性があります。

もし、抜歯になってインプラントを選ぶ場合でも、骨が残っていれば、骨造成をせずに埋められることがあります。治療期間は短く済み、費用の負担も抑えられます。

同じ根の先の炎症でも、気づいた時期によって、その後の治療の大きさはこれだけ違ってきます。

噛んだときの違和感が続く方はご相談ください

噛んだときの違和感は、痛みが出る前の数少ない手がかりです。

根の先の炎症は、レントゲンだけでは広がりをつかみにくいことがあります。北村総合歯科では、必要に応じてCTで根の先の状態を立体的に確認し、炎症の範囲を把握したうえでご説明します。

歯を残せるかどうかは、最初に検討します。抜歯が必要と判断した場合も、骨の状態に合わせた治療計画をご提案し、骨造成を伴う治療にも対応しています。

気になる歯が1本でもあれば、痛みが出る前に一度ご相談ください。

※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。

インプラント治療とは

歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。

手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。

インプラント治療に関する費用

内容メーカー/処置費用(税込)
上部構造(人工歯)ジルコニア/ハイトランス¥143,000
ジルコニアステイニング¥154,000
ジルコニアレイヤリング¥176,000
インプラント体(人工歯根)プラトン¥264,000
ネオデント¥297,000
ストローマン¥330,000
追加処置サージカルガイド¥66,000
ソケットリフト骨造成(GBR)¥55,000/本
サイナスリフト¥110,000

インプラント治療に伴う主なリスク・副作用

インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。

  • 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
  • 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
  • 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
  • インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
  • 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
  • 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
  • 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間

これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長

1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。