最近、低価格のインプラントの広告を見かけることが多くなりました。なかには1本10万円前後という案内もあり、多くの歯科医院で提示される金額と比べると大きな差があります。

そうなると、こんなに安くできるのなら、高いインプラントを選ぶ意味はどこにあるのか、という疑問が出てきます。ここでは、価格の差がどこから生まれているのかを、大きく3つに分けてお伝えします。

1. 使うインプラントのメーカーと品質の違い

あごの骨に埋める部分は、チタンやチタン合金で作られています。同じチタンでも、純度や加工の精度によって品質は変わります。

大きく違うのが表面の加工です。インプラントは表面に細かい凹凸をつけることで骨と結びつきやすくしており、この加工の技術がメーカーごとに異なります。

骨と結びつく力は、埋めた直後の安定にも、10年後まで使えるかどうかにも関わります。長い年月をかけて研究と実績を重ねてきたメーカーの製品ほど、その費用が価格に反映されます。

日本で販売されているインプラントは、国の審査を受けて承認された医療機器です。そのなかでも、メーカーによって価格には幅があります。

先行するメーカーの技術をもとに開発費を抑え、手ごろな価格で作られている製品もあります。価格が低いことが、そのまま品質が低いことを意味するわけではありません。

ただ、価格の差はインプラントそのものだけでは決まりません。治療を終えたあと、長く使い続けられるかどうかにも関わってきます。

2. 長く使うための部品供給と保証の違い

インプラントは、骨に埋める部分、その上の連結部分、被せ物という組み合わせでできています。ネジや連結部分は、長く使ううちに交換や修理が必要になることがあります。

このとき必要になるのは、基本的にはそのメーカーの製品に合わせた部品です。

メーカーが撤退したり、その製品の製造をやめたりすると、部品が手に入らなくなります。骨に埋まっている部分は問題なく使えているのに、上の部分を直せないという事態が起こり得ます。

場合によっては、埋まっているインプラントを取り出すところからやり直すことになります。長く実績のあるメーカーが選ばれるのは、このためです。

治療後のメンテナンスの体制や、万一のときの保証をどう用意しているかも、医院によって異なります。こうした備えの分も、費用の考え方に含まれています。

3. 診断と手術にかける手間の違い

インプラントを安全な位置に埋めるには、あごの骨の厚みや高さ、神経や血管の位置を立体的に把握する必要があります。CT撮影とシミュレーションにかかる費用です。

計画どおりの位置に埋めるための装置(サージカルガイド)を作る場合も、その分の費用がかかります。

サージカルガイド

特にサージカルガイドは、インプラントのように体の中に埋め込むものではありません。ですが、これを使うかどうかで、インプラントを計画どおりの角度と深さで埋められるかに違いが出ます。

サージカルガイドはすべてのケースで必要なわけではなく、骨が少ない、神経が近いなど、精密さが求められるケースで使われます。こうしたケースでガイドを使わない場合は、術者の経験と技術に頼る部分が大きくなります。

使うかどうかは、費用の高い安いではなく、骨の状態や治療の難しさによって判断されるものです。

他にも、被せ物の精度も費用に関わります。噛み合わせが合っていないと、特定のインプラントに力が集中し、長持ちしにくくなるためです。

では、安い治療は選んではいけないのでしょうか。

安いかどうかではなく、何が含まれているかを確かめる

費用を抑えた治療がすべて良くないわけではありません。取り扱う製品を絞る、設備の使い方を工夫するなど、理由があって費用を抑えている医院もあります。

大切なのは、提示された金額に何が含まれていて、何が含まれていないかを知ることです。次の項目を相談のときに確認してみてください。

  • どのメーカーのインプラントを使うのか。国内で承認されている製品か
  • 見積もりに何が含まれるか(検査・手術・仮歯・被せ物)
  • 被せ物の素材は何か
  • 保証はあるか。年数と、どのようなときに適用されるか
  • 治療後のメンテナンスの頻度と、1回あたりの費用

これらに答えが返ってくるのであれば、費用が高くても安くても、納得したうえで選べます。答えがはっきりしない場合は、その理由を聞いてみてください。

インプラントの費用に疑問がある方はご相談ください

当院では、プラトン、ネオデント、ストローマンの3社のインプラントを扱っており、骨の状態やご希望に合わせてお選びいただいています。

院長は、インプラントメーカーのプラトンジャパンが認定する公認インストラクターです。同社のインプラントを使う歯科医師に向けて、治療の技術を指導する立場にあります。

費用の内訳や、なぜその方法を提案するのかについては、時間をかけてご説明しています。他院で提示された見積もりについてのご相談も承っていますので、お気軽にお越しください。

※医療広告ガイドラインに基づき、自由診療に関する費用および治療に伴うリスク・副作用等の情報を以下に記載しております。

インプラント治療とは

歯を失った部分の顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。顎の骨に固定されるため、天然歯に近い噛み心地や見た目を再現できるのが特徴です。

手術によるインプラント体の埋入後、骨と結合するまで数か月間の治癒期間を経て、上部構造(人工歯)を取り付けます。

インプラント治療に関する費用

内容メーカー/処置費用(税込)
上部構造(人工歯)ジルコニア/ハイトランス¥143,000
ジルコニアステイニング¥154,000
ジルコニアレイヤリング¥176,000
インプラント体(人工歯根)プラトン¥264,000
ネオデント¥297,000
ストローマン¥330,000
追加処置サージカルガイド¥66,000
ソケットリフト骨造成(GBR)¥55,000/本
サイナスリフト¥110,000

インプラント治療に伴う主なリスク・副作用

インプラント治療は、失った歯の機能や見た目を回復するための効果的な方法ですが、以下のようなリスクや副作用を伴う可能性があります。

  • 術後の痛み・腫れ・出血・内出血・感染症
  • 神経や血管の損傷による知覚異常・麻痺・大量出血
  • 上顎洞の損傷による蓄膿症などの副作用
  • インプラントが骨と結合せず再手術や除去が必要になる場合
  • 糖尿病や骨粗鬆症など全身疾患によるリスク増加
  • 口腔衛生不良によるインプラント周囲炎と脱落のリスク
  • 食べ物の詰まりやすさ・噛み心地の違和感・高額な費用・長い治療期間

これらのリスクをできる限り回避し、安心してインプラント治療を受けていただくためには、経験と実績のある歯科医院を選ぶことが重要です。

北村 英二(きたむら えいじ)
歯科医師/北村総合歯科 院長

1998年、日本大学松戸歯学部卒業。藤井病院歯科・口腔外科部長、水口歯科クリニック新宿院長を経て、2021年に「北村総合歯科」を開業。
「歯科が苦手な方にも安心して通ってもらえる医院づくり」を理念とし、痛みに配慮した丁寧な診療と患者との信頼関係を大切にしている。診療方針の柱は、再治療のリスクをできる限り抑えた“根本的な治療”と、できるだけ歯を削らず・抜かずに「自分の歯を守る」ための医療提供。口腔外科での豊富な臨床経験を活かし、短期的な対処に終始しない長期的な視点での治療を重視している。